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ともに笑い、希望を語れるリーダーとなる 

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 黒沢明監督の名作『七人の侍』。お百姓を助ける七人の侍のうち、まっ先に命を落とすのは、千秋実という俳優が扮した、明るくて冗談好きで楽天的な男である。
 その死に際して、志村喬が扮する侍のリーダーがこうつぶやく。
「これから戦いが苦しくなる。苦しい時にこそ、あの男の明るさが必要だったのに・・」組織の長に必要な人間性のひとつに「明るさ」と「ユーモア」がある。どんなに苦しい局面でも、明るく笑って、希望を捨てない楽天性――それがリーダーに不可欠な条件である。
 ホンダがまだ、浜松の町工場にすぎなかったころ、故本田宗一郎氏はいつも社員に向かって「世界一のオートバイメーカーになろう」と語りかけていたという。
 社員はその夢物語に苦笑するほかなかったが、心のどこかで、「この人なら本当にそれを実現させるかもしれない。この人についていけば夢が現実になるかもしれない」と、一筋、その可能性を信じていたそうである。
 リーダーはつねに希望を抱き、明るく夢を語ること。その夢に向かってビジョンを描きプロセスを示してやること。それは、未来に向けて前向きに成功の確信に満ちており、「きっとやれる。成せば成るぞ」と陽気に公言できる。
 また、逆境のときや苦しいときに、「なぁに、苦あれば楽ありさ。俺も必死にやるから、みんなもここでがんばってくれ。明けない夜がかつてあったためしはないよ」――そう部下を慰め、励ませるリーダー。
 こういうリーダーは部下にも希望と確信を持たせ、彼らの気を鼓舞する。組織メンバーの精神的支柱となり、彼らの力を結集できるのである。部下というのは、実にリーダーの顔色をよく見ているものである。リーダーがしゅんとしていれば組織全体が意気消沈してしまうし、リーダーが弱音を吐けば、部下はああダメなのかと思う。リーダーが暗い顔をしていればみんな陰気になるし、リーダーがくしゃみをすれば全員カゼをひいてしまう。そういうものなのだ。
 だから、私はいつも門弟やスタッフに言っている。
 仕事場へ来たら、いちばんに大きな声であいさつをしなさい。人と会ったら、相手から声をかけられる前にこちらから明るい声で話しかけなさい。下腹に力を入れて声を出し、互いに励まし合って仕事を進めなさい。帰り際には「お疲れさま」は絶対口にしてはならない。
 「お疲れさま」とあいさつ代わりに毎日言っていると、それがいつの間にか仕事の失敗の言い訳にもなる。仕事をすると疲れることが当たり前になってしまう。疲れる仕事は結果的には良くない。仕事が楽しければ、疲れも少ない。成果も上々である。帰りのあいさつは「頑張ってますね、お先に失礼」と明るい声を残して退社すべきである。
 苦しい思いや悲しいことがあり、泣きたい時は、思いっきり泣いた後、笑顔をつくりなさい。苦しい時こそ楽しいことを考え、それを口にしなさい――と。
 多少の無理があっても、空元気でいいから、そのように実行する。そうしていくうちに、本当にその気になってくる。自分の中に明るく楽天的な気分がわき、それは人にも伝播していく。そのことが困難を可能にする心のエネルギーになるのだ。
 リーダーの楽天性は、組織や集団が事を成す上で実に大切な要素なのである。
 明治四三年、南極探険のプランを発案した白瀬中尉はほとんどの人から反対され、奇人扱いされたが、たった一人、「それは面白い」と賛成してくれた人がいた。
 明治のリーダーの一人、大隈重信である。しかし、大隈は確実な成算があって賛成したわけではなかった。出発間際、白瀬に向かって、
「南極は暑いから気をつけろ。南洋でさえあれほど暑いのだから、さらに南の南極の暑さはよほどのものだろうから」と大マジメに言ったとか。
 まるで笑い話だが、しかし、リーダーのこうした底抜けの楽天性は得がたい。どれほど部下を元気づけるかしれない。
 楽天的でユーモアがあり、共に笑い、共に喜び、共に希望を語り合えるリーダーが今、求められる。

(拙著:『リーダーの精神哲学』1997年発刊より)

癒しの光っちゃん 川上光正 記


川上光正オフィシャルサイト
http://kawakami-yoga.com/

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