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明るく磨かれた本田宗一郎氏の魂 




松下幸之助氏と並び称される
名経営者に本田技研の創始者・
故本田宗一郎氏がいる。

いずれも裸一貫から身を起こして
自社を世界的企業にまで
育て上げた名伯楽である。

本田氏をそうならしめた彼の
カルマや超潜在意識の「質」は、
では、どのようなものであったか。

結論からいうと、
松下氏のそれが徳、意志、
信念といった色合いを
有しているのに比し、

本田氏のは楽天、奔放、
天資天性の「明るい」ものである。

むろん、そのカルマが
善意なものであることは
いうまでもない。

ホンダがまだ浜松の
町工場にすぎない時代から、

「オレたちは世界を目指すぞ」
と口にし、周囲から〝ホラ吹き〟
と呼ばれていた。

希望をいつも公言できる明るさ、
けっして物事を悲観しない
楽天性は、人の上に立つ
人間に不可欠の要素であり、

本田氏が若い頃から備えていた
資質であろう。

創業の翌年、本田氏は
融資のためある大銀行の
支店を訪れ、いきなり
「金を貸してくれ」と頼み込む。

驚いた支店長が、
それでも見所ありと踏んだのか、
彼を料亭へ招待する。

氏はケロリとそれに
応じたという。
この豪放磊落と純真無垢な魅力。

また、本田氏は若者が好きで、
若手社員にも、折にふれて
言っていた。

「会社のために、なんて思うな。
自分の生活をエンジョイする
ために働け」

「大人から〝いい子〟だなんて
いわれるようじゃ、その大人
以上に伸びやしない。

大人に〝悪い子〟といわれる
のを恐れないで、若者らしく
勇気を持っていろいろな経験をし、
視野を広げておくことが大切だ」
――と。

氏も自らこのように生きた
若者であったが、

若い人の将来性を信じ、
その可能性を認めることが
旧世代の責任と考えていた彼の、
オープンマインドな人材育成術を
見るようである。
(次回へつづく)

(拙著:『リーダーの精神哲学』 1997年発刊 より)

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